発明王の原点は、鉄道内での新聞売り|トーマス・アルバ・エジソン
第36回コラム
- 世界ではじめて音を記録できるようにした蓄音機や、白熱電球(これが発明されるまでは、ランプなどの炎が明かりだった)、映画のフィルム、はてはネズミやゴキブリを退治する機械など、3000ほどの発明や改良で知られる発明王エジソン。幼いころから好奇心旺盛で「火はなぜ燃えるの?」「なぜ船は浮くの?」「どうしてリンゴは赤いの?」など、大人を質問攻めにして困らせたという。
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そんなエジソンは、母から与えられた一冊の物理学と化学の入門書との出会いをきっかけに、自宅の地下に実験室を設けて実験を行い自らの好奇心を満たしていく。しかし実験には道具が必要でお金がかかる。先生を質問攻めにするなど問題を起こして小学校を退学していたエジソンは、いち早く社会に出て働くことを志した。
そこで目をつけたのが、自身が列車に乗っているときに見かけた走る鉄道内で新聞を売る仕事。まだ少年だったエジソンだが、ちょうどそのとき自宅近くに鉄道が開通したという幸運もあり、鉄道での新聞の売り子の仕事をすることになる。
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電車内で新聞だけでなく、菓子なども売ったことでエジソンの商売は好調だった。さらに、電車のなかに実験室をつくって、新聞や菓子を売ったあとの空き時間に実験を行うことも可能になった。数年後には、自分で新聞をつくって売ることにしたが、これも大好評でかなりの収入に。すべてが順調だったが、ある日実験室で火災が発生し、実験室は閉鎖、新聞づくりも中止となった。
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失意のなか、新聞の売り子の仕事は続けていたエジソンだが、鉄道にひかれそうになっている駅長の子どもを助ける。そのお礼として駅長は、エジソンが本で読んで興味を覚えていた電信技師になることを勧め、技術指導をしてくれた。電信とは、電話もメールもなかった当時、電気をつかったモールス信号という信号を、長距離にわたってはりめぐらせた電線を通して伝えることで、遠距離の通信を可能にした技術のこと。電信を行う電信技師はそのころ人気の職業だった。
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エジソンは「スピード王」とあだなされるほど、電信を打つスピードが速く腕のいい電信技師になりました。同時に、持ち前の好奇心から電信の技術の仕組みにも興味を覚え、詳しくなります。そうして得た電信の技術を元に発明を開始。最初に大ヒットしたのは、貴金属や株式の相場の変動を電信で伝える機械を改良した「万能相場表示機」だった。これが飛ぶように売れ大金を得たエジソンは、実験研究所と工場を設立し、以降、偉大な発明家としての波乱に満ちた生涯を送ることになる。
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世界的によく知られる偉人にも、自分の夢のために新聞を売る仕事に就いていた。新聞奨学生には、そんなエピソードにふれて励みにしてほしい。
*新聞配達をした著名人を知っている方はぜひ編集部までお知らせ下さい!
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